AIDA II

アイーダ 2

不変の価値と新たな価値を融合する
壮大なプロジェクトが迎えた、
第二幕。

コンセプト

キャビネット内部の平行面をなくすことで定在波の低減を目指して追究してきた“リュート・シェイプ”の進化形、“ライラ・シェイプ”。
“リラ”(竪琴)を意識したライラ・シェイプは、キャビネット後部を絞り込んで前部と逆方向のカーブを持たせることによってスピーカー内のエネルギーをいっそう効果的に管理、音の回り込みを防止する一方で、構造的な強度も確保する革新的な手法。“アイーダII”は、美しく流麗にして音響学的に考え抜かれたこのライラ・シェイプを、さらに洗練された形で継承しています。

キャビネット本体の基本的な骨組みに均質で強度に優れた素材であるMDFを採用した上で、バッフルやサイドパネルなどキャビネットのほとんどの部分を、マホガニーに似た風合いの広葉樹“オクメ(Aucoumea)”材で構築。厚みの異なるシート状にした上で、木目の角度を交互に90度変えて積層させたプライウッドとし、プレス機で加圧しながら美しくも強靭な曲面を持たせています。

  

制振技術

①フロント・バッフルから独立したツイーター+ミッドレンジ、ウーファー 2本の各ドライバー用チェンバーを非磁性合金スチール製ロッドによって連結する“アニマ・レガータ”(Anima Legata=魂柱)も、アイーダIIでは、よりコンパクトかつ効率的に結合できる方法を追究し、キャビネット重量を増大させることなく全体の強度を向上する洗練されたアプローチにアップグレード。

②逆相振動によって残留微小振動を打ち消す2基の“質量調整ダンパー (TMD=Tuned Mass Damper)”とあいまって、不要振動・共振ファクターを徹底的に排除するコンセプトに磨きをかけています。

③キャビネット全体は、“the Sonus faber”以来ソナス・ファベールが改良を重ねてきた“ZVT”(Zero Vibration Transmission)によって床面振動からアイソレート。アルミニウム製ベースプレート上部に、15mmサブベースプレートとエラストマー樹脂材を弓型に成型した“ボウ・スプリング・サスペンション”をマウント、スプリアス共振やアコースティック・フィードバックなどリスニングルームのあらゆる振動要素をシャットアウトするこの特許技術は、アイーダIIにおいてますます完成度を増しています。

中高域

3kHz以上の再生を担うツイーターは28mm口径で、ソナス・ファベール独自の“アローポイントDAD”を採用したシルク・ソフトドーム。クラシックなドーム型が持つマイルドな音色と優れた指向特性、リング・ラジエーターの高域特性の伸びを兼ね備えたドライバーで、ドーム頂点をダンピングすることから「DAD=DampedApex Dome」 の名があります。ネオジム磁石による強力磁気回路で駆動、木製の音響チェンバーとあいまって、きわめてダイナミックなリニアリティーを発揮します。

このツイーターとの音色上の統一感を獲得すべく同じチェンバーにマウントされたミッドレンジは、やはりネオジム磁気回路を備えた180mm口径のコーン型。200Hzから3kHzに至る広い帯域の再生を担っています。
ダイアフラムは、セルロース・パルプのほかケナフ、カポックなどの天然繊維を自然乾燥させ、圧縮することなくブレンドしたカスタムメイドで、高粘弾性のコーティング材によりコーンの色づけ要素を一掃しています。特製の同軸アンチコンプレッサーも不要共振や歪みの低減に貢献、スピーカーの音楽性にとって重要な中音域を自然な音色で再現します。

低域

200Hz以下の低域を受け持つのは、220mm口径のコーン型ウーファー 2本。上側が200Hz以下、下側が150Hz以下をサポートするスタガー構成になっています。ダイアフラムは中空粒子配合のコア材を、ダイアフラムはシンタクチック・フォーム製コアを、ミッドレンジと同様のコーティング処理天然セルロース・パルプ素材で挟み込む軽量サンドウィッチ構造で、中域との音色のつながりを絶妙に保ちながら分解能に優れた低域再生を可能にします。

さらに55Hz以下の超低域再生を担う320mm口径スーパーウーファーも備えています。中空粒子配合のコア材をナノカーボン・シートで挟み込むサンドイッチ構造コーンにより高い剛性を獲得、ソナス・ファベール史上最大とも言える4インチ口径のロングスロー・ボイスコイルを備えたネオジム磁気回路によって、高速でダイナミズムに富んだ堂々たるパフォーマンスを実現します。
“ZVT”とボトムプレート間に下向きで設置、ドライバー・ユニットのエネルギーをより効率的に引き出せるようチェンバー構造も一新しており、深く伸びながら360度に広がるナチュラルな低域の力感を満喫していただけます。

ウーファー部
スーパーウーファー部

背面

背面には“the Sonus faber”からアイーダに受け継がれた“サウンド・シェイパー ”を採用。
フロント・バッフル同様のアローポイントDADと80mm口径ミッドウーファーによる独立した2ウェイ・システムで、アイーダIIでは、ミッドウーファーを2本採用してパワー感を向上した上で、チェンバー構造も見直しました。
音圧レベルを5段階(0 〜 4)で切り換えて直接音と残響の割合を調整することにより、リスニングルームの特性に合わせて自在に音場を創成することができます。

仕上げ

Wenge
(ハイグロス・フィニッシュ)
Red
(ハイグロス・フィニッシュ)

デザイン

伝統と革新を融合するソナス・ファベールの姿勢は、設計段階から組み上げの段階まで一貫しています。
キャビネットやドライバー・ユニットの開発・設計に始まるほとんどのプロセスが、ヴェネト州ヴィチェンツァの工房で進められています。

ユニットやネットワークの取付もソナス・ファベールの職人が作業
熟練の職人にしか成せない革張りの技術

スペック

・形式
 3.5ウェイ5スピーカー+ 2ウェイ3スピーカー
 フロアスタンディング型
・使用ドライバーユニット
 高域:28mmアローポイントDADシルク・ソフトドーム型(H28 XTR-04)
 中域:180mmコーン型(M18 XTR-04)
 低域:220mmコーン型×2(W22 XTR-12)
 スーパーウーファー:320mmコーン型(SW32 XTR-08)
 サウンドシェイパー高域:29mmアローポイントDAD シルク・ソフトドーム型(29 XTR2)
 サウンドシェイパー中低域:80mmコーン型×2(M8 XTR)
・クロスオーバー周波数
 55Hz / 150Hz / 200Hz / 3kHz
・周波数特性
 18Hz ~ 35,000Hz
・出力音圧レベル
 92dB / W / m
・公称インピーダンス
 4Ω
・推奨アンプ出力
 100W ~ 1kW(クリッピングなし)
・スピーカー端子
 トライワイヤリング対応
・寸法
 幅482×高さ1725×奥行780mm
・重量(1本)
 165kg
・キャビネット仕上げ
 Wenge / Red
 (ハイグロス・フィニッシュ)

カタログ