Stradivari G2

ストラディヴァリ G2

仮想無限大バッフルの思想を継承、
そして数々の革新的な技術を搭載した、
唯一無二を体現する銘機の誕生

コンセプト

2003年、クレモナのヴァイオリンづくりの伝統における最も著名な職人の一人、アントニオ・ストラディヴァリへ捧げる、同社のフラッグシップとなる作品を発表しました。“Stradivari Homage(ストラディヴァリ・オマージュ)”と名づけられたそのスピーカーは、伝統的な木材と革を使用する卓越したデザイン性、音楽の姿をありありと映像化する類い稀なパフォーマンスも持つ唯一無二のスピーカーとして、12年間に渡り姿を変えることなく世界中のオーディオファイルを魅了しました。

Stradivari Homageの設計から 20 年後、同社の創業40周年を記念する2023年、Stradivari Homageの第 2 世代“Stradivari G2 Anniversary”を発表しました。
本機のために開発した最先端の技術により、内部構造からユニット、キャビネットのデザインなど全てが新設計。伝統的な熟練の職人による徹底した手作業だからこそ実現でき、創業40年の歴史と哲学の真髄を体現しています

”Stradivari G2”は、記念碑的な作品となった”Stradivari G2 Anniversary”に使用しているキャビネット・デザインや革新的な技術はそのままに、一部意匠に変更を加えたレギュラーモデルです。

Stradivari Homage
Stradivari G2(Red仕上げ)

デザイン

本機のデザインは、ソナス・ファベール伝統のスピーカーづくりの手法をふまえた一方、そのフォルムは初代の楕円形から五角形デザインに発展しています。これはまさに美的ニーズに対して技術がシームレスに適応した画期的な進化と言えます。

その特徴的なフロントバッフルは、いにしえのヴァイオリンづくりに習熟したソナス・ファベールの職人が、技術と知識の粋を集めて練り上げた成果。木材をアルミニウムで挟んだその精密でエレガントなデザインは、“Stradivari G2”をサウンドだけでなく外観も記念碑的作品たらしめる、格別な風格を醸し出しています。

精緻な木工技術は、ソナス・ファベールの職人によるスピーカーづくりの礎です。ストラディヴァリ第2世代の塗装、研磨は、最上級の楽器づくりに適用される技術に基づいており、グロス塗装は9層にも及ぶことで、芸術的工芸品のような特別な存在を付与しています。

天面(Graphite仕上げ)

制振技術

天然木によるキャビネットに、アルマイト処理とラウンド・エッジ処理を施したCNC加工アルミニウムプレートをキャビネットの天地に取り付け、背面もアルミニウムパーツを装着、強靭なパーツで挟み込む独自構造「エキソ・スケルトン・クランプ」。
キャビネットをダンピングさせ振動成分を抑制するとともに、天然木ならではの豊かな鳴りと適度に引き締まった低域域の再生を実現します。美しい木製キャビネットの音響特性を引き出すため、悪影響を及ぼす床面からの不要な共振や振動成分をキャビネットに滞留させず、接地面に効率的に逃がすことで、淀みのないナチュラルな音楽を奏でることができます。

床面からの振動伝播とキャビネット全体をデカップリングする手法として、同社による近年の優れた研究成果である“Z.V.T.”(ゼロ・ヴァイブレーション・トランスミッション)テクノロジーを踏襲しています。スパイクの取り付け部にエラストマー樹脂を挟み込む“サイレント・スパイク”を搭載しています。

フット部の”サイレント・スパイク”

バスレフ

本機のために開発した特別なバスレフ・システム“クレプシドラ・テクノロジー”。
「Clepsydra」は「砂時計」を意味し、これはバスレフ・ダクト長を抑えながら最大の低域パフォーマンスを獲得する一方、底面方向への音波放射によって、スピーカー設置の自由度を最大限に上げることを目指した設計です。また、低域チェンバーの内部は平行面を排し、定在波の発生を抑制しています。 このテクノロジーは、同社が考えうる限りの最高水準のパフォーマンスを実現するという目的のもと、入念なシミュレーションと試行錯誤を経て開発された本機のための特別な技術です。

チェンバー

同社の最新テクノロジーである「イントノ・テクノロジー」を採用。
「Intono」はラテン語で「イントネーション(調音)」を意味し、密閉された高域/中域のチェンバー内で綿密な調整が施された小孔を設けることにより、ミッドレンジ・チェンバー内のインピーダンス・ピークは大幅に減少、改善します。
一方、ツィーターには同社伝統の木製チェンバーをドライバー背面に搭載することで、ミッドレンジ・ドライバーの影響は受けず、ツィーターの純度は保たれたまま、高域再生を実現します。
ダイアフラムの動きによって生じる空気圧は小孔による適切な気流調整で効果的に減衰されるため、比類なくナチュラルな中域再生を実現し、更にクロスオーバー・ネットワーク回路のサイズやパーツ点数を最少限に抑えたよりシンプルなクロスオーバー・デザインが可能になります。

ミッドレンジとツィーターの密閉型チェンバーの隔壁に、計算された径と長さのポートを設け、空気圧を最適にコントロール(赤色部)。

LFA

同社はこれまでにも、“The Sonus faber”、“Aida”、“Lilium”といったフラッグシップ・モデルにおいて超低域周波数の調整システムを導入していましたが、この度導入したの、”LFA“(ロー・フリケンシー・アジャスター)は“Aida II”に採用された技術をさらに昇華させた、新たなシステムです。 ドライバー・ユニットの共振ピークを補正し、信号経路に抵抗部品を実装することなく、低域レンジの効果的なダンピングを行う事で、可能な限り低域の浸潤性を高める設計となっています。

スピーカーターミナルに隣接するボードに4口の端子が設置されており、中央の1つがマイナスで、他3口の端子いずれかにジャンパーで接続することで、それぞれ異なる低域レスポンスを得られます。

高域

28mm径アローポイントDAD搭載シルク・ソフトドーム・ツィーター。
強靭なアルミニウム・ダイキャストのフレームに搭載されたソフトドーム・ツィーターの頂点を部分的にダンピングさせ、ダイアフラムの逆相挙動を抑制します。高域の透明感、伸びやかさをより発揮させる独自の「DAD(Damped Apex Dome)テクノロジー」。更にトライポッド構造のD.A.Dを搭載する事で、高域の音波拡散と大音量時の制御能力を大きく向上させます。

ドライバーは本機のための専用設計であり、背面には同社のフラッグシップ・モデル“AidaⅡ”にも採用された専用の木製チェンバーを搭載。ドライバー駆動時に発生する気流を制御し、レーザーエッチング加工による複雑な音響迷路を形成する内部構造により、透明でありながら力感のある、高純度な高域再生に寄与しています。

中域

セルロース・パルプ、カポック、ケナフなどの天然繊維を調合し自然乾燥させた独自ダイアフラム150mm径ペーパーコーン。
強力なネオジム・マグネットが、銅クラッド・アルミニウム巻線(CCAW)で構成されたムービングコイルの高速且つ最短で正確な応答を実現。中高域のニュアンスを余すところなく、分解能高く鮮やかに描き出し、後述するウーファーとの音色や繋がりの完全な調和を実現しています。バスケットは強靭なアルミニウム・ダイキャスト・フレームにより、理想的なハイスピード駆動と高いコントロール性を兼ね備えた事で、淀みのないナチュラルなサウンドを提供します。

新設計のフェーズ・プラグは、独自のダンピング・リングを設けたことによりコイルの動作に起因する音の乱れを最小限に抑え、ペーパーコーンの高周波数帯域における共振を物理的に修正しつつ音波拡散を最適化しています。その結果、物理的な音響フィルターとして機能し、クロスオーバー回路のシンプル化に貢献しています。

低域

本機のために専用設計された260mm ウーファー。
2つの超軽量 CCAW ボイスコイルは超高速駆動を実現するため、カスタムメイドのネオジム・ドライバーを搭載しながら、ボイスコイルの冷却を強化するアルミニウム製のエア・ギャップを備えた新たなドライバー構造を採用。新開発センターキャップは、剛性に優れたABS樹脂で構成。そしてF.E.M(Finite Element Method=有限要素法)に基づくコンピューターを用いた構造解析により、コーン部、ラバーエッジ、BIMAXスパイダーの素材や形状、厚みなどを解析し最適化しながら、ダイアフラムを保持するフレーム・バスケットも新規設計としました。

非対称で有機的でユニークな形状をそなえ、ダイアフラムの動作から生じる振動を効果的に分散することで、共振が発生しない設計となっています。これは、『ナチュラルサウンド』というソナス・ファベールの哲学を、技術的要素と有機的なインスピレーションによって再現しえたソナス・ファベールならではのものづくりの結晶と言えるでしょう。振幅のスムースネスと可動域の大幅な改善を実現、類をみないパワフルな低域再生は新たな音楽体験を提供いたします。

ネットワーク

クロスオーバー・ネットワークの徹底的なこだわりと研究は、同社の創業当時から続くスピーカーの設計において非常に重要な要素です。
回路は “アイーダⅡ”にも採用されている「PARACROSS TOPOLOGY™(パラクロス・トポロジー(位相幾何学))」と、新たに開発した「Interactive Fusion Filtering(インタラクティブ・フュージョン・フィルタリング)」に基づく設計となっています。
各ドライバー・ユニットの振幅 / 位相特性、空間 / 時間特性を最適化する一方、低周波数のインピーダンスを最適に制御してアンプとのマッチングに配慮しています。また高周波干渉を抑え、トランジェント特性を改善させる事で、本機のポテンシャルを存分に発揮させます。

搭載するパーツも厳選された物を採用。Jantzen社製インダクター、Clarity Cap社とのカスタムメイドパーツ、MUNDORF社製高品位パーツを、幾度もリスニングテストを重ね厳選しています。

仕上げ

新世代のHomageに採用された「Wenge(ウェンゲ/グロス・フィニッシュ)」、「Red(レッド/グロス・フィニッシュ)」、「Graphite(グラファイト/グロス・フィニッシュ)」の3仕上げをラインナップ。

【Wenge】
細かなテクスチャのアフリカ産広葉樹ウェンゲ材を使用。

【Red】
同社伝統のウォルナット材にレッド・フィニッシュ。

【Graphite】
ウォルナット材にダーク・グレーの顔料を施したグラファイト・フィニッシュ。

左から Wenge(ウェンゲ) / Red(レッド) / Graphite(グラファイト)

スペック

・形式
 3.5ウェイ 4スピーカー バスレフ方式フロアスタンド型スピーカー
・使用ドライバーユニット
 高域:28mm アローポイントDAD シルク・ソフトドーム型
 中域:150mm ダンピング・フェーズプラグ搭載コーン型(ナチュラル・ファブリック)
 低域:260mm コーン型 × 2(セルロース / シンタクチックフォーム・サンドウィッチ構造)
・クロスオーバー周波数
 160Hz / 220Hz / 2,200Hz
・周波数特性
 25~35,000Hz (ステルス・ウルトラフレックス含む)
・出力音圧レベル
 92dB SPL (2.83V/1 m)
・公称インピーダンス
 4Ω
・スピーカー端子
 バイワイヤリング対応(HIGH / LOW)
・寸法
 幅715mm×奥行428mm×高さ1374mm(本体部、突起部含む)
・重量(1本)
 63kg

ストリング装着時(Red仕上げ)
背面(Red仕上げ)