Suprema

シュプレーマ

あらゆる叡智と研究の結晶体、
全てにおいて一切の妥協をせず、
真なる音楽再生を実現する
「スピーカー・システム」

コンセプト

1983年にFranco Serblin(フランコ・セルブリン)氏によって創業されたSonus faber(ソナス・ファベール / イタリア)。1987年初代作品となる“Electa Amator(エレクタ・アマトール)”から始まり、1990年には“Minima(ミニマ)”、1993年には弦楽器製作の名工の名前を冠した “Guarneri Homage(ガルネリ・オマージュ)”、いずれも今なおその名は多くのオーディオ・ファイルから支持される名機として知られています。2010年には同社初の弩級フラッグシップ“the Sonus faber”を発売、同社の新たな到達点を示すスピーカーであり、限定生産ながら日本を含む世界中のオーディオ・ファイルから絶賛されました。その後も称賛を得る数多くの製品を送り出し続けており、今日では世界中から注目されるスピーカー・ブランドへと成長しています。

そして2024 年 1 月、同社の創業40周年を記念する新たなフラッグシップ・モデル“Suprema(シュプレーマ)”を発表しました。本機は2筐体のメイン・キャビネット、2筐体のサブウーファー、1筐体のアクティブ・クロスオーバー・ネットワークで構成された2.2chスピーカー・システムであり、同社が手掛けてきた数々のプロジェクトの中で最も野心的です。この記念すべきモデルは、サウンド・パフォーマンスやデザインを含む全てにおいて、従来のスピーカー・システムの概念を覆すために開発されました。同社の伝統的な職人技や更なる革新的な技術の開発、使用する素材の厳選など、ラグジュアリー性においても一切の妥協はありません。

「至高」を体現するために生まれたSuprema は、卓越したオーディオの典型であり、音楽への更なる没入を再定義させます。

Suprema(Red仕上げ)

デザイン

メイン・キャビネットは、同社の創業者フランコ・セルブリン氏が考案した「Guarneri Homage」を彷彿とさせるリュートデザインを継承しています。同社の求める完璧なサウンド・ステージを再生するためには、スピーカーの存在を完全に感じさせないキャビネット形状が必要でした。研究を重ねた結果生み出されたキャビネットは、流麗なリュート形状でした。平行面がない事でキャビネット内の共鳴を的確に制御、そしてスリムな形状により、「スピーカーの存在が消える」真に3次元的な空間表現を実現します。

サブウーファーは、メイン・キャビネットとは全く異なる考え方により製作されました。キャビネットは、Stradivari Homageを模した形状を採用。キャビネットの表面積が大きいだけでなく、内部容積が多く、更には平行面のないキャビネットは内部定在波の除去を最適化する事ができます。オーケストラにおけるティンパニやグランカッサ、ドラムのアンサンブルなどのインパクトがあるサウンド、また音場や空気感を適切に生成するために必要な歪みのない最低域(16Hz)の再生を可能としました。

Suprema, Red仕上げ
左から“メイン・キャビネット”、“サブウーファー”

構造

本機のために開発したカスタムメイドのドライバー・ユニットのポテンシャルを最大限に引き出すために、メイン・キャビネットとサブウーファーのいずれにもカーボンモノコック製のキャビネットをリア部に採用。10年前の同社30周年記念モデル”Ex3ma”で初めて採用したカーボンファイバーは耐久性と共振の少なさに非常に優れており、固有の振動や共振を除去します。
一方では同社の伝統技術である天然木による積層合板をサイドパネルに採用。17層の極めて厚い積層構造による優れた剛性を有するだけでなく、同社初となる難易度の高い3次元曲面加工により、並行面を出来る限り少なくした独創的なデザインを実現しています。そして天然木による積層合板、カーボンモノコックのエンクロージャーをCNC加工アルミニウム・プレートによりクランプさせる事で、更なる剛性を獲得、不要な振動成分をより理想的に除去します。

制振技術

特に大型スピーカー・システムにおいては、設置する床面とのアイソレーションは非常に重要な要素です。設計上アイソレーションとスピーカーの相関性が考慮されていない場合、再生される情報の一部や低音スペクトルがキャンセルされてしまいます。また、デカップリングが強力過ぎると、過多なアイソレーションによりエネルギーが損失され、不自然な低音応答が生成される可能性があります。
開発の様々な試行錯誤の中、カナダのオーディオ用のアイソレーション製品を手掛けるメーカー「IsoAcoustics」社の製品をテストする機会がありました。Sonus faberが既存のモデルに採用しているアイソレーション技術と「IsoAcoustics」社のアイソレーション技術を比較してテストを行ったところ、「IsoAcoustics」社のアイソレーション技術は、より洗練された正確性、そして明確に定位感に優れたサウンドを顕著に発揮しました。そして同時にスピーカーにおけるアイソレーションの重要性において、考え方がSonus faberと同一である事に気付き、同社とのコラボレーションが始まりました。
そして「IsoAcoustics」社と共同開発によりカスタムメイドのアイソレーション構造が完成しました。その結果、音響的に優れた「床面とスピーカーの絶縁」に成功し、特に中高周波数域での明確なパフォーマンス向上を獲得しました。透明感ある明確なサウンド・ステージを提供しながらも、低音のダイナミクスは全く失わない利点を持ちます。

また、同社の従来モデルに搭載していたアイソレーション・デカップリング構造は、スパイク内蔵型や接点にエラストマー樹脂を使用するため、キャビネット外部に搭載されていました。本機の「IsoAcoustics」社製アイソレーション構造は、キャビネット内部に搭載されるため、外側からは一切それを視認させない、従来のスピーカーの常識を超えたクリーンで美しいデザインに仕上げる事に成功。エクステリア・デザインにおいても同社には一切の妥協はありません。

「IsoAcoustics」社製カスタムメイドのアイソレーション構造
メイン・キャビネット内のアイソレーション構造

チェンバー

メイン・キャビネットのツイーターとミッドレンジ部の独立チェンバーは、ドライバー・ユニットのパフォーマンスの最適化を図るために設計した独自のチェンバー構造“Cutting-edge Technologies”を搭載。
同社では内部定在波や共振のない完璧な形とは、対称や多角形ではなく、有機的な形と考えています。しかし、理想とする有機的な形を一般的な木材で形成する事は不可能でした。そして妥協なき研究の結果、同社がこれまで扱ったことのない素材であるコルクが最適である事が分かりました。コルクは中音域の解像度と自然なサウンドをもたらす天然素材であり、一方で容易に最適な形状加工を可能とします。コンピューター・シミュレーターや聴感によるリスニングテストによって生まれた独創的なチャンバーは、今までにない有機的な形状を実現している事で、淀みのないナチュラルな中高域再生を可能とします。

中高域

・スーパーツィーター、ツィーター
フロントの高域は20mmスーパーツィーター、38mmのツィーターの2基によって再生され、いずれもSonus faberの伝統ともいえるシルク・ソフトドーム型を採用しています。 本機には同社の独自技術“アローポイントDAD”を搭載していません。それは、スーパーツィーターが2kHz~40kHzの帯域再生が可能な事、またスーパーツィーター及びツィーターの双方に、ウェーブガイドが備わっている事で、高域特性や分散において非常に優れているためです。前述したチューニング・システムにより、それぞれのツィーターの音量バランスは緻密に調整する事が可能です。

・ミッドレンジ
本機のために開発された165mmミッドレンジ。フラッグシップにふさわしいミッドレンジの開発を研究している最中、音楽の中心となる中域においては、円形のダイアフラムにより発生する共鳴、そしてエッジ部による回折現象が音質へ悪影響を及ぼす事が分かりました。そこでダイアフラムの周りの合計5箇所カットし、更にエッジ部を凹型にする事で、今までにないナチュラルでホログラフィックなサウンドを奏でるミッドレンジの開発に成功しました。“Camelia Midrange(カメリア・ミッドレンジ)”と命名されたこのユニットは、形状がイタリアのトスカーナ地方で珍重される花であるカメリア(椿)に似ている事から、あえてダイアフラムに着色をせずに、素材(ペーパー)そのものの色を活かしています。
新設計のアルミニウム製フェーズプラグは、独自のダンピングリングを設けることで、ユニットが駆動する事で発生する気流を最適化、リスナーへ一貫した波形パターンの伝播を可能とします。

低域

203mmミッドウーファーが1基、203mmウーファーを4基搭載。タワー型のユニット構成で、ウーファーがキャビネット上部と下部に2基ずつ搭載されています。またこれらのペーパー コーン・ウーファーは、 45~360Hzの周波数に対応。カスタムメイドのネオジム・ドライバーを備えたデュアル・ボイスコイル構造によるパワフルな低域再生を可能とします。そしてドライバーの背面に特別なボトムキャップを搭載。エアーポートを設ける事で、ボイスコイルの冷却と駆動効率を強化します。ダストキャップには剛性・弾性に優れたABS樹脂を採用しています。

ミッドウーファーは2基の下部ウーファーとミッドレンジ間に配置。カスタムメイドのネオジム・ドライバーにより45~430Hz まで再生します。同社はこのミッドウーファーの事を「リンク・ミッドウーファー」と呼んでおり、4基の ウーファーと1基のミッドレンジが再生する周波数を結ぶ重要な役割を担っています。

サブウーファー

可聴周波数(20Hz)を下回る超低周波数を最適に再生するために、メイン・キャビネットの位置に関係なく、リスニング環境に基づく低域の応答を最適化できるよう、独立したサブウーファー・システムがある事が理想的です。サブウーファーには超低周波数の再生を可能とする38cmドライバー・ユニットを2基搭載。優れた剛性と共振の少ない鍛造カーボンファイバー製のダイアフラムを採用しながら、巨大なヒートシンク、強力なネオジム・ドライバーで構成され、2つのユニットを合わせて約2,000Wの出力に耐えられる設計となっています。
また”Stradivari G2“にも採用された非対称で有機的な形状を持つ最新バスケットを採用していることで、歪みのない16Hz~80Hzまでの再生を可能とします。

鍛造カーボンファイバー製のダイアフラムを採用
”Stradivari G2“に使用されているバスケットは、
以下のドライバー・ユニットに搭載。
【メイン・キャビネットのフロント部】
ミッドレンジ、ミッドウーファー、ウーファー、
【サブウーファー・キャビネット】
サブウーファー

ネットワーク

本機の再生周波数帯域は従来のスピーカーを大きく上回る性能を有しており、そのため完璧な状態で再生する事を目的とした、外付けの専用クロスオーバー・ネットワークを開発しました。特に超低周波数を再生するサブウーファーにおいては、空間やシステムに応じた調整が必要不可欠なため、このクロスオーバー・ネットワークによってLow Passや位相、ゲインの調整をする事が可能なだけでなく、必要に応じてメインチャンネルのHigh Passを調整する事が出来ます。
クロスオーバー・ネットワークによる最適な信号処理を実現するため、L/Rの回路を物理的に分離させたデュアル・モノラル構成を採用、またフル・バランス回路によるアナログ信号処理をしている事で、音質劣化をさせずに本機のポテンシャルを最大限に発揮させる完璧なサウンドを奏でる事が可能となります。

"Poltrona Frau"とのコラボ

記念すべきモデルに相応しいデザインへの追求のために、同社初となる試みとして、同じイタリアの高級家具ブランド“Poltrona Frau”とのコラボレーションを実現しました。
メイン・キャビネットのフロントバッフルに使用するレザーは、 “Poltrona Frau”が手掛けるクロムフリーのなめし加工レザー“Pelle Frau® Impact Less”を採用。イタリア国内において、才能のある熟練職人によって生み出される特別なイタリアンレザーが使用されている事で、同社の伝統ともいえる革張りのフロントバッフルは更なる美しさを持ち合わせ、記念すべき本機に相応しいラグジュアリー性を実現しました。

仕上げ

Red(レッド/グロス・フィニッシュ)、Red Violin(レッド・ヴァイオリン/グロス・フィニッシュ)、Graphite(グラファイト/グロス・フィニッシュ)、Wenge(ウェンゲ/グロス・フィニッシュ)、Walnut(ウォルナット/グロス・フィニッシュ)、の全部で5つのフィニッシュをラインナップ。

Red(レッド)
Red Violin(レッド・ヴァイオリン)
Graphite(グラファイト)
Wenge(ウェンゲ)
Walnut(ウォルナット)

スペック

【Main Column メイン・キャビネット】 ・形式
 4.5ウェイ 10スピーカー 密閉型フロアスタンド型 ・使用ドライバー・ユニット
 超高域  20mm シルク・ソフトドーム型
 高域 38mm シルク・ソフトドーム型
 中域 165mm ダンピング・フェーズプラグ搭載コーン型
    (ナチュラル・ファブリック)  中低域  203mm サンドウィッチ構造ペーパーコーン型
 低域 203mm サンドウィッチ構造ペーパーコーン型 ×4
 リア部  高域 28mm シルク・ソフトドーム型
 リア部  中域 101mm ペーパーコーン型
・周波数特性
 フロント 45Hz~40kHz
 リア 500Hz~20kHz
・出力音圧レベル
 91dB/W/m
・公称インピーダンス
 4Ω
・クロスオーバー周波数
 フロント 360Hz / 430Hz / 1,700Hz / 6,700Hz
 リア 500Hz / 2,300Hz
・推奨アンプ出力
 100~700W(クリッピングなし)
・スピーカー端子
 バイワイヤリング/バイアンプ対応(Hi / Low)
・外形寸法
 W650mm×D880mm×H1905mm (本体部、突起部含む)
・本体重量
 105kg/本

【Subwoofer サブウーファー】
・形式
 1ウェイ 2スピーカー 密閉型フロアスタンド型スピーカー
・使用ドライバー・ユニット
 380mm カーボンファイバー・サンドイッチ・コーン型
・周波数特性
 16~30/80Hz
・出力音圧レベル
 92dB/W/m
・公称インピーダンス
 4Ω
・推奨アンプ出力
 500~2000W(クリッピングなし)
・スピーカー端子
 シングルワイヤリング
・外形寸法
 W850mm×D525mm×H1451mm (本体部、突起部含む)
・本体重量
 103kg/本

【X-over Unitクロスオーバー・ネットワーク】 ・形式
 フルディスクリート・アナログ・アクティブ・クロスオーバー
・入力部
 RCA×2、XLR×2
・出力部
 メイン:RCA×2、XLR×2
 サブウーファー:RCA×1、XLR×1
 プロセッサー:RCA×1、XLR×1
・周波数特性
 メイン 25Hz~150kHz
 サブウーファー 5Hz~150kHz
・入力インピーダンス
 RCA:20kΩ、XLR:10kΩ
・出力キャパシティ
 RCA:6V rms(15.5 dBv)@490Ω
 XLR:11 V rms (+20 dBv) @ 980 Ω
・外形寸法
 W451mm×D424mm×H110mm (本体部、突起部含む)
・本体重量
 17kg/台